箱におりたたまれた連続空間
敷地は、静かな住宅地の中の一画であり、整形された矩形の形状で、標準的な土地である。
クライアントであるゲーム製作会社に勤める夫婦からは、自分たちの個性を反映したオリジナルな家を建てたいという要望があった。
彼らの生活や趣味に伴うアクティビティから組み上げられたプログラムは、多彩な趣味を反映して、複数の重心が緩やかに繋がるものとなった。
こうして得られたプログラムを、シンプルなボックスの中に折りたたむように納めていく。
対応するアクティビティによりレベルと面積に差異をもたせた空間は、玄関から最奥のスペースまでひとつの連なりとなり、奥行きと広さを生み出している。
ボックスにはスリット状のコートヤードを切り込み、このコートヤードから採光をとることで空間内に光を行き渡らせている。外観のブラックボックスに対し、ほぼ白で統一された内部空間の中、玄関を始点とする動線は、コートヤードに近接しながらスパイラル状に展開し、屋上へと抜けてゆく。
ブラックボックスに折りたたまれた空間は、起伏が生み出すスケール感とコートヤードから注ぐ光により、様々な表情を持つ空間の連続体となり、家族の生活に新たな体験を生み出すプラットホームになる。